上松町の東部には、中央アルプス山脈が連なります。最高峰は木曽駒ヶ岳。上松町からはAコース、Bコース、そして空木岳コースが利用されてきました。
またワンデイハイクの登山として、最近は風越山(かざこしやま)も人気です。
このページでは、山々を楽しむ情報をご案内します。
2020年3月、木曽駒ケ岳は中央アルプス国定公園に指定されました。
上松Aコース、災害発生の情報がありました。最新情報をご参照ください。
まずはじめに
【山岳と長野県登山安全条例】
長野県登山安全条例、入山のお手続き方法などもあわせてご案内します。
2015年12月17日、長野県の「登山安全条例」が施行されました。
登山届の提出の義務化、山岳保険加入の努力義務など、山々をより安全に楽しむためのルールです。
安全な登山のために、まずご一読下さい。
上松町内で条例の対象となる登山道は、上松Aコース、上松Bコース、空木岳コースです。
【長野県登山安全条例の概要】
…登山者の皆様にお願いします。
● 登山の前に、登山届(計画書)を提出してください。
● 季節や気象条件に合った装備、服装を忘れずに。
● 山岳保険への加入をおススメします。
登山計画を立てる際に便利なサイト「コンパス」があります。
デジタルマップの閲覧や登山届の電子申請も可能ですので、ご活用ください。
公益社団法人 日本山岳ガイド協会運営 「登山のコンパス ~山と自然のネットワーク~」
登山のコンパス 木曽駒ヶ岳エリア
【登山計画書(登山届)の提出】
登山計画書に記載する情報は、長野県の条例に定められています。
集団で登山を計画する場合は、代表者が計画書を提出すればOKです。
提出先は「長野県、地方事務所、登山道のある市町村、隣接する県の行政機関」とされています。
登山計画書に記載が必要な事項
(1) 氏名及び住所
(2) 登山の期間及び行程
(3) 装備品の内容
(4) 緊急時における連絡先
(5) その他規則で定める事項 …知事が定めます。
登山計画書は、次のFAXでも提出を受付けます。
FAX: 03-6862-5035
登山計画書作成に役立つ様式集
登山計画書の様式や、上松町の登山道の勾配目安、平面図を掲載。
平面図はちょっと大きめのA3サイズです。
必要に応じて、縮小印刷してください。
登山計画書様式 PDF 登山計画書様式 EXEL …長野県警察作成 |
登山道勾配目安 …PDF 上松町作成 上松Aコース 上松Bコース 空木岳コース |
国土地理院電子国土WEB 上松町~上松Aコース、Bコース …PDF 倉本駅~空木岳コース …PDF 麦草岳~空木岳縦走 …PDF |
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中央アルプス「木曽駒ケ岳」
【木曽駒ヶ岳 上松Aコース】
上松駅~木曽前岳を経て駒ヶ岳山頂へ至る、上松町のメインルートです。かつてはウォルター・ウェストンが踏破し、常設のバス路線が運行されたほどの賑わいでした。
現在、地元上松中学校をはじめ、学校登山でも利用されています。
山頂までは、2合目アルプス山荘付近から約8km、8時間程度の行程。自家用車はアルプス山荘上に置けるスペースがあります。
砂防堰堤の工事個所はしばらくルートが不鮮明でしたが、現地の工事が進みルートが定着してきました。以前のように滑川第1砂防公園まで迂回しなくても登れます。
5合目金懸避難小屋までは、やや急峻。5合目に昔あった水場「金剛水」は、現在は枯渇していることが多く、3合目敬神が最終的な水場になります。
金懸小屋は無人の避難小屋で、どなたでも利用できます。
木曽前岳の大ナギルートは崩壊が進んでおり、足場が悪いのでご注意ください。
【木曽駒ヶ岳 上松Bコース】
上松駅から北東、芦島地区を経由して麦草岳を目指し、主峰を縦走して木曽駒ヶ岳山頂に至るルートです。
Aコースに比べると利用する方は少なめですが、静かな山間に突然現れる「奇美世の滝」の迫力は絶景で、隠れファンも多いコースです。
入口にある木曽駒荘は、現在は「木曽駒JOY.」の活動拠点。かつては中日キャンプ場として家族連れや学校の利用が多く見られましたが、廃業となりました。木曽駒JOY.有志の活動は、山小屋再生プロジェクトと呼ばれています。
木曽駒荘から奇美世の滝までは、多くが林道を経由します。奇美世の滝付近の国有林で治山工事を行なった名残ですが、林道に土砂崩れ箇所があるので、登山道の交差部分を迂回路としてご利用ください。
奇美世の滝からは一気に勾配がつき、登山道らしくなります。森林限界を超えると麦草岳のなだらかで開けた風景が目前。
麦草岳から木曽前岳は主峰を縦走しますが、この区間は特に崩壊が厳しく、難ルートとなっています。登山に慣れた方でも、ケガや滑落に十分ご注意ください。
【空木岳コース】
中央アルプスの南の名峰、空木岳を目指します。上松町の空木岳ルートはJR倉本駅を発ち、馬ノ背~中八丁峠を越えてゆく、全長10km以上の長丁場。途中、伊奈川林道へは大桑村須原から車で入れるため、現在は伊奈川林道経由で登頂する方が多くなりました。
このルートでは、尾根筋にテント場がありません。
倉本駅からは集落の中を歩きます。集落が途切れたところに登山届のポストがあり、そこから中八丁峠まで延々と登り。峠を下ると上松町から大桑村へ。伊那川林道に合流し、うさぎ平まで歩きます。
ここまででも結構な体力を使うため、うさぎ平でビバークする方もあります。
うさぎ平からは一気に急登へ。東川岳を右肩に巻いて、尾根の木曽殿越を目指します。「木曽殿」とは平安時代の源氏・木曽義仲のこと。この場所で中央アルプスを越えたとの伝承から名付けられました。ここに山頂まで最後の山荘、木曽殿山荘があります。
木曽殿越から空木岳まで、もうひと頑張り。空木岳から木曽駒ヶ岳へは主峰縦走となり、慣れた方でも6時間程度のルートです。
風越山
上松町の「風越山」は、かざこしやまと読みます。同じ字を書いて「ふうえつさん」と読む山が飯田市にもあります。中央アルプスを挟んで東西に同じ字の山があるのは、何とも面白いですね。
風越山は典型的な里山で、山麓に広がる吉野集落などと連密な関係がありました。家々で飼育している家畜の牧草や、屋根に使用する材料のカヤ、日々の食料などを得られた、貴重な場所だったのです。その歴史はとても古く、土器や石器などの遺跡も発掘されています。実際に吉野集落を訪ねてみると、穏やかな農村を見守るようにそびえる風越山は、とても頼もしく感じられます。
江戸時代には、当時の山麓の様子が木曽八景に数えられました。草原を夏の風が吹き渡り、爽やかにそよぐ美しさを伝えたといわれます。しかし近代化とともに酪農家も減り、里山の需要がなくなってくると、木曽八景の美しさも失われていきます。かつて夏の風にそよいだ草原は雑木に覆われ、カヤの平の名残は山頂付近にわずかに残るのみとなりました。
(上写真: 最近の風越山)
(下写真: 1960年頃の風越山)