木曽地域は日本の原風景を残す、貴重なエリアです。

上松町も中山道の宿場として栄えましたが、時代の流れとともに、その景色も移り変わって行きました。

このページでは、最新のAIによる古い写真のカラー化を通じて、古き佳き時代の光景を甦らせてみます。

なお色彩はAIによる自動復元ですので、必ずしも当時の光景を完璧に再現していない点にご留意下さい。

 

今回の画像は、前回の画像を可能な限り拡大・補正し、昭和12年の上松町を再現したものです。

カラー画像には、画像データへの直リンクを貼りましたので、クリックして大きな画像をお楽しみいただけます。

上松駅前の商店や、国鉄中央線の蒸気機関車などをご覧ください。

 

出典: 町制80周年記念映像「あの頃の上松」

(上松町役場総務課作成)

カラー化アプリ: Coloroze Images「Colorize Images」android版

(画像クリックで拡大します)

まずは町の北部、鬼渕鉄橋から十王沢まで。

のちに上松運輸営林署が建つ場所は、一段下がった畑か、別の用途で使用されていたようです。

その南側には、現在の木曽町の方向に、屋根に描いた大きな看板が確認できます。

表記は「木曽木」でしょうか、材木商や製材所のようですね。

国鉄中央線や街道沿いには、昔懐かしい形の電柱がいくつも建っています。

軌道を凝視してみましたが、この区間に森林鉄道の編成は確認できませんでした。

十王沢から南側、上松宿の中心部だったエリアです。

大火前の上松町を観察するに、とても重要な部分になります。

左上、ひときわ白い建物が玉林院。

その左奥が天神山で、現代でも枝垂れ桜が有名なスポットです。

玉林院の手前を左右に伸びる道が中山道。

玉林院の右側に大きな屋根が見えますが、この位置が上松宿の本陣があった場所です。

街道はゆっくりカーブしながら右の上松駅方面に向かいます。

中山道沿いには石置き屋根の古い家々が多く並び、少し離れるとモダンな造りの建物がみられます。

この当時は、いわゆる宿場町の風景だったことでしょう。

中山道から上松駅周辺の画像です。

国鉄中央線の整備に伴って、明治末期から近代化が進んできたエリアを拡大してみます。

駅舎は現在の箱型ではなく、日本家屋風の屋根を備えた建物でした。

駅前は南北に長い形状で、現在のロータリー型ともまったく異なります。

駅前から南は、斜めに中山道へつながるのが意外でした。

駅前には大きな看板を掲げた商店が確認できます。

中央線の線路をはさんで画像下側は森林鉄道の基地、貯木場となっています。

左側の森林鉄道基地には、客車の編成や蒸気機関車のキャビンらしき車両が確認できました。

そこから駅に向かっていくと、円形の転車台、給水塔も見えます。

目立って大きな機械は見当たりませんが、はたしてどうやって木材を積み替えていたのでしょうか。

じっくり観察したい1枚です。

上松駅から南側、木曽川に下る正島坂方面です。

国鉄中央線をくぐるガードや坂道は、現在も健在です。

ただ道幅は、現在の道路よりかなり狭い。

木曽川沿いは広々と田畑が広がっており、その後は製材所などが林立する木工団地となりますが、この頃は木曽川沿いの堤防も県道もありません。

木曽川に架かる小川橋は、非常に凝った造りの吊橋になっています。

この写真が撮影されたすぐ後に、小川橋を渡った右岸側に現在の関西電力寝覚発電所が建設されます。

画像の一番下、木曽川に「蛙岩」が映っていないかと思いましたが、残念ながら確認できません。

最後に栄町~寝覚方面の風景です。

国鉄中央線には、まさに上松駅に到着する直前の蒸気機関車が見えます。

ボイラー上の形状や朧げに写った動輪の数、製造年月から、有名なD51ではなく、C型機関車の仲間かもしれません。

どなたか詳しい方に伺ってみたいですね。

機関車の直上、中山道のカーブのちょっと上側に大きな建物がありますが、ここに当時の営林署がありました。

営林署から上松小学校に至る場所に江戸時代の材木役所があったことから、この地が当時の森林管理の中心だったようです。

小学校下には古い中山道が、営林署下には新たな国道が整備されています。

中山道沿いは古い石置き屋根の家々が、国道沿いには新しい建物がみられます。

寝覚の床方面、見帰地区の田んぼに大きな看板が並んでいますが、さすがに文字までは認識できませんでした。

 

元はくすんだ色合いの写真ですが、時間の流れを重く感じられる素晴らしい素材です。

これをデジタルで補正しカラー化することで、当時の暮らしまで感じ取れそうな写真になりました。

じっくり眺めていても、飽きない情報量が楽しめます。

次回は、いよいよ上松町を焼き尽くした大火の記録を振り返ります。

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